GEN-SUNのブログ

海と音楽がライフワーク

フィールドインストラクションは引退したのに・・・

エッセイ本を出すことが決まってダイビングインストラクターの引退宣言をしたはずの僕に、
教え子の一人が中級ダイバーの資格を取りたいという。
他のインストラクターに教えさせるつもりで引き受けてのだけれど、僕でないとイヤだと言い出した。
カリキュラムは「ボートダイビング」「ディープダイビング」「コンパスナビゲーション」
「サーチ&リカバリー」「ナイトダイビング」の5種。

困った。
だって、一日ではこなしきれないし、日に何本も重いタンクを背負って教えるパワーが自分に残っているのか自身もないし、引退したという気持ちが心の底にあるので気合の入り具合も違うだろうし・・・
結局、受講生はひとりだけなので最後の力を振り絞って教えさせてもらう事にした。
7月3日、雨。南の風、大潮。コンディションは決して良くないけど、決行と相なった。
和歌山みなべを目指す僕の気持ちは重いけど、目的地が近くなってくるにつれ大阪の雨量と比べればかなり少ない状況で海の色も美しく見えている。
波は1メートル強。受講生は20代前半の女性看護士だ。
初級ダイバー講習時は非常に出来が良く、水を怖がる事もなかったので心配はなし。

出港だ。
真っ先に僕が入って潮の流れ、水中視界のリサーチ。エントリーすると少し流れはあるものの、視界は15メートルと良好。
1本目はディープダイビングのトレーニングのため、生きた化石「オオカワリイソギンチャク」の群生を見るために水深45メートルの世界へ誘った。
水温は26度。彼女は上出来だ。
2分ほど滞在の後、浮上することにした。
じっくりと時間をかけて斜め浮上を心がける。
途中、キンギョハナダイのきれいな群れ、イッテンフエダイ、コショウダイ、イサキ、タカベが迎えてくれた。ダイブタイムは15分。
アンカーロープ沿いに浮上して、水深5メートルで10分の減圧停止。
そして、少し荒れた水面にエキジット。
ボートダイビングトレーニングは初級ダイバーで教えているのでクリアー。ディープも当然クリアー。

昼からはポイントを代えてのコンパスナビゲーションだ。
1.5メートルと、かなり波が出てきているが、彼女は楽しそうだ。
三角ナビと四角ナビをクリアー。
エアが大量に残ってるので、ついでだ、サーチ&リカバリーのトレーニングをする。
サーチロープを使っての円形サーチを教えた。これもクリアー。
リカバリーはエアバルーンを使ってコンクリートブロックを水面に上げる練習。
浮上速度をコントロールしながらバルーンを揚げていく。これもクリアー。

陸に上がり、夕方以降にナイトダイビングをする準備をして休憩をとる事にした。
そろって仮眠をとった。日没は7時12分なので6時半に目を覚ました。
なんと、ビーチは嵐のごとき荒れようとなっていた。
大潮の満潮時と強風が重なって狂想曲を奏でている。
「あとはナイトダイビングだけ残っているけど、僕は死にたくないので取り止めとします。
後日、再トライしよう」
彼女は残念そうだけど、納得していた。
それはそうだろう、あの巻き上がるような砂浜の波を見たのだから。
車中で話し合って、次回はナイトをしてからバーベキューを食べて帰る、
1泊2日のツアーを組むことにした。
もちろん、ナイトの翌日はファンダイビングを楽しむ予定だ。